翡翠の悪魔~クライシス・ゾーン~
「メトジロ。ミミフサゲ」
リュートとティリスだけに聞こえる声だった。
発音が悪くて何を言ったのかわからなかったが、緑の眼がこちらを一瞥(いちべつ)して自分の目と耳を指差した。
──『目、閉じろ。耳、ふさげ』か?
理解するや否や悪魔のふところから黒い筒状の物が現れ、人のほうへ投げ飛ばす。
とっさに目を閉じて耳をふさいだ──
轟音と閃光がほとばしる!
目を閉じていても視界が白く感じるほどの熱いまぶしさと、
耳をふさいでいても鼓膜が貫かれるほどの大音響に、
リュートたちは肝を冷やした。
命を落とすものではないが、まともに喰らったら視覚と聴覚がしばらく使いものにならなかっただろう。
直撃を受けた人々は何事が起こったのかと軽いパニック状態におちいっている。
……目を開けると、悪魔の姿は消えていた。
逃げると気配を読んでわかっていたが、リュートは追う気になれなかった。
自分の胸によりそって不安げに見つめてくる存在がいたせいもある。
ただ目を閉じる直前に見た
緑色の瞳が
記憶の片隅で鮮やかな光を放ち続けていた──……
リュートとティリスだけに聞こえる声だった。
発音が悪くて何を言ったのかわからなかったが、緑の眼がこちらを一瞥(いちべつ)して自分の目と耳を指差した。
──『目、閉じろ。耳、ふさげ』か?
理解するや否や悪魔のふところから黒い筒状の物が現れ、人のほうへ投げ飛ばす。
とっさに目を閉じて耳をふさいだ──
轟音と閃光がほとばしる!
目を閉じていても視界が白く感じるほどの熱いまぶしさと、
耳をふさいでいても鼓膜が貫かれるほどの大音響に、
リュートたちは肝を冷やした。
命を落とすものではないが、まともに喰らったら視覚と聴覚がしばらく使いものにならなかっただろう。
直撃を受けた人々は何事が起こったのかと軽いパニック状態におちいっている。
……目を開けると、悪魔の姿は消えていた。
逃げると気配を読んでわかっていたが、リュートは追う気になれなかった。
自分の胸によりそって不安げに見つめてくる存在がいたせいもある。
ただ目を閉じる直前に見た
緑色の瞳が
記憶の片隅で鮮やかな光を放ち続けていた──……