翡翠の悪魔~クライシス・ゾーン~
 語った褐色の顔は蒼白の色を帯びていた。後ろにいる団員たちも同じく。

 森で悪魔と出くわしたときのような堅い空気がしばらく流れて……


「もしかしたら……」


 ポツリ、とアロルド団長がつぶやく。


「世を騒がす“魔族”より恐ろしいかもしれません。魔法も利かない、不死身の化け物ですから」


 そしてまた沈黙が降りた。

 ティリスは羊皮紙とにらめっこしながら口もとに手をあてて考えこんでいる。


 ──やはり今回も相当厄介な依頼になりそうだ。


 周りを見わたして小さく舌打ちしたリュートだった。



 一通り話を聞いた後、今日の宿を探しに行こうとしたら団長に引き止められた。

街の中央区に来賓用の宿泊施設があるからそこを使えばいい、とのこと。

迷惑をかけてしまったお詫びとして施設に話を通してくれるらしい。

来賓用だから滞在費はいらないと聞いて、その言葉に甘えることにした。
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