ラブリーバニーは空を飛ぶ
流れる黒
「白市さん、髪触らせて?」
「はぁ…構いやせんが」
さらさらとした黒髪はちるの憧れだった。
生まれついて色素が薄く癖のついている髪の毛では伸ばしても綺麗にならない、というのが彼女の持論だ。
白市をソファに座らせ、木綿を解くとまったく癖のついていない長い髪の毛が落ちてきた。
毎度の事ながら、どうやってしまっているのだろうと背後で首を捻る。
枝毛もなさそうなそれに少し不服そうな顔をしながら引っ張ってみた。
当たり前の事だが白市の頭がその動きについてきた。
正直な所何がしたかった訳でもなく、単純に触ってみたかっただけなので引っ張った体勢のままでちるは固まってしまった。
「…切らないの?」
「暑くなってきたら丸めやすよ」
「ぼーず?」
「へぇ」