ラブリーバニーは空を飛ぶ

ハロー、運命




「夏、おいで」



そうやって名前を呼ばれるのに慣れたのはいつだったろう?


学校の中は煩くて気持ちが拡散して、何もかもが嫌になるから、嫌いだ。

入学した当初はずっとそればかりを考えていた。それくらいしか考える事がなかった。

男子はゲームか猥談、女子は芸能人やおしゃれの事ばかり。

俺がそんな輪の中に入れる訳もなく、ただぽつねんと一人過ごすのが常になっていた。


普段から、教室には一つ、席が空いていた。俺の隣、一つ。

なんでも学校に来ていないらしく、入学してから二週間この席の主を見たことがない。

どんな人なんだろうか、きっと周りと同じなんだろう。




次の日、席は空いていなかった。


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