ラブリーバニーは空を飛ぶ
体育の時間の、組体操。
二人一組になって行うそれに、俺と組んでくれる人がいるわけもなく、彼と二人、あぶれてしまった。
当たり前のように俺と彼は組まされてしまうわけで。
「…よろ、し、く」
「よろしく。君が相手でよかった」
ちろりと視線をくれた彼は、開口一番そう言った。
「……?」
「クラスの人は煩いから。それに比べて君は静かだ」
同じ事を考えていたのだ。
そう思った瞬間、天啓のようなものが身体の中を駆け抜けた。
彼から目が離せなかった。
たった数分の間に、俺は彼に陶酔してしまっていたのだ。
黙り込んでしまった俺を彼が覗き込んでくる。
そこから先の記憶は、ない。