光の世界 -episode zero-


オーヴェと呼ばれた老人は、ゆっくりとレイが眠るベッドに近付くと、じっとその姿を見つめた。



…――黒い髪。



オーヴェは、生まれて初めて見る漆黒の髪に目を奪われているように見えた。



そんなオーヴェの態度に、リスノはこれ以上待てないというように口を開いた。



「黙ってちゃわかんないだろ!ったく、ついにボケちまったのかい?
だいだいあんたは…」

「…いいだろう」

「え?」



あまりにも意外なオーヴェの言葉に、おもわずリスノは間抜けな声をあげた。



「いいだろう、と言ったんだが?」



< 20 / 67 >

この作品をシェア

pagetop