あたしと眼鏡
「はぁはぁ…もうだめぇ~ι」


必死に走っても犬はどんどん追いついてくる。


気づくと家とは逆方向の土手を走ってる、けどそんなの関係ねぇ!!状態ι


「うわっ…」


足を引っかけよくありそうなドラマみたいにゴロゴロと転がり河川沿いに落ちてった。


「いたた…足挫いたかもι」


幸い芝生だったから良かったものの汚れてるのには変わらない。


「わんわんっ」


犬は凄い勢いで駆けてきてあたし目掛けてジャンプした。


「…っ!!」


目をギュッとつむり体を丸くする。


「ほらほらいい子だ」


「くぅ~ん」


「へ?」


聞き慣れた声と甘えた犬の鳴き声にゆっくり目を開ける。


「相澤…どうして…?」


「俺を笑いながら置いてった罰(バチ)が当たったな」


犬を撫でながら振り向くことなくいつもの口調で話してる。ほっとして力が一気に抜けちゃった。


「だってみんなに囲まれて忙しそうだったし?」


「犬触らせてやろうか」


「ごめんなさいごめんなさいっ…助けてくれてありがとうございました!!」


弱味に漬け込まれた屈辱感を味わいながらも助かったから良かった。
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