あたしと眼鏡
「わんわんっ…わんっ」


「ん…うぅ~」


顔に不思議な感触と声に意識がはっきりしてきて目を開けると、目の前にわっさわさしたものがぼんやり見えた。


「わんっ♪」


「いっ犬ぅぅぅ!!!」


悲鳴をあげながら逃げるように物影に隠れた。


「やっと起きたみたいね」


「母さん?」


ニコニコしながら洗濯物を取り込んでる母さんの姿、その周りを尻尾を振りながら走ってる犬…


いついてない?


「この子飼うことにしたんでしょ?相澤くんから聞いたわよ」


「ちっ違うから」


「それじゃあ保健所に連れて行くの?」


「それは…」


隠れながら犬を見ると首輪はついてなかった。


「保健所で里親が見つからなければ命は失ってしまうわ」


「うう~…」


母さんもあたしが犬恐怖症だってこと知ってるくせに~!!


「きゅ~ん…」


言葉を理解してるのか鼻を鳴らして近づいてくる犬に思わず叫んだ。


「ひっι来ないで…わかったからっ!!飼えばいいんでしょ」


「偉いわ真琴っ犬恐怖症治すチャンスよ」


「ははは…だといいけど」


結局飼うことになるのね…
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