Why?〜「俺とキスしてみない?」番外編〜
ぷるぷると首をふるりんご。

「今は、大丈夫」

「でも、怖かったんだ」

「……うん」

うなずくりんごの頬に、俺は自分のそれをすりよせる。

あったかい……。

「俺も、怖かった」

「ウミト君……」

「りんごが他の誰かのモノになっちゃうんじゃないかとか、
俺以外の男を特別みたいに話すこととか、
怖くて、絶対大丈夫っていう証拠が欲しかった、
 でも……」

真っ青でひんやりした、りんごの頬を見て。

「りんごがいなくなっちゃうのが、
一番怖いと思った……」

「私も、それが一番怖かったよ?」

じっと、俺を見つめる瞳。

双の瞳に、それぞれ俺の顏が映っている。

怯えたように、りんごを見つめる俺の顏。

「こんなふうに、
 苦しくて寂しくて、
 怖い想いをするなら、
 ウミト君と離れた方がいいかと思った……
でもね、そう思って、
ウミト君にもう会わないって、そう思っただけで、
……ものすごく、
怖くて、寂しくて」



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