バックネット裏の恋
「冬美、余計なこと言わないでよ!」
冬美はそんな私の睨みなど何のそので、ここぞとばかりに反撃に出た。
「だってそうじゃん、鼓太郎のことも恵美ちゃんの気持ち知りながら誤解されるようなことしてさぁ」
そう言った瞬間、その場の空気が変に硬直し、息苦しくなった。
「わかった、明日はっきり断る。ごめんごめん、何かつまらない話だったね、飲もう飲もう」
顔を引きつらせながら私は幹事の役目を果たそうと必死で笑顔をつくった。
その時、恵美ちゃんの顔が微かに曇ったのを私は見逃さなかった。

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