バックネット裏の恋
「ねえ、さっき沢村主任と何話していたのよ」
同期の山下智美が興味津々な顔で聞いてきた。
「別にたいしたことじゃない」
「ふぅん、秋恵気をつけなよ」
「何が?」
「沢村主任狙いは敵が多いわよ」
「はいはい」
「真面目に人の忠告を聞きなさいよぉ」
「何が忠告よぉ、既婚者相手にどうにかなるとでも思っているわけ?」
「好きなんじゃないの?」
「ノー」
「本当に?よかったぁ」
入社式の時、もの凄く緊張していた智美を横にこっくりこっくりと眠っていた私を彼女はそっとゆすり起こしてくれた。それをきっかけによく話すようになり、孝太郎と三人でつるむことも度々あった。
半年も経つと智美の目がいつも誰を追っているのかわかるようになった。
既婚者とは知りつつも、叶わぬ恋に恋しているようで影ながらそっと応援していた。
智美本人からは決して沢村主任のことが好きだとは言わないし、こちらからも勘繰ったりはしない。彼女が話したくなったら私は聞いてあげるだけ。
同期の山下智美が興味津々な顔で聞いてきた。
「別にたいしたことじゃない」
「ふぅん、秋恵気をつけなよ」
「何が?」
「沢村主任狙いは敵が多いわよ」
「はいはい」
「真面目に人の忠告を聞きなさいよぉ」
「何が忠告よぉ、既婚者相手にどうにかなるとでも思っているわけ?」
「好きなんじゃないの?」
「ノー」
「本当に?よかったぁ」
入社式の時、もの凄く緊張していた智美を横にこっくりこっくりと眠っていた私を彼女はそっとゆすり起こしてくれた。それをきっかけによく話すようになり、孝太郎と三人でつるむことも度々あった。
半年も経つと智美の目がいつも誰を追っているのかわかるようになった。
既婚者とは知りつつも、叶わぬ恋に恋しているようで影ながらそっと応援していた。
智美本人からは決して沢村主任のことが好きだとは言わないし、こちらからも勘繰ったりはしない。彼女が話したくなったら私は聞いてあげるだけ。