悪女と良男
『お前なぁ…』
巧はそう言って大きな溜め息をついた。
「とりあえず、戻ろ!
んで今日こそお互い相手を見つけようじゃないか!」
『お前に彼氏なんて絶対できねぇーよ』
巧がボソッと呟いたのが聞こえた。
あたしはドアノブを握っていた手を離し、巧のところへ戻る。
「どういうことかな?巧くん」
『お前みたいな口の悪ーい女に彼氏なんてできねぇーって言ったんだよ!!』
巧はあたしを睨む。
「そこまで言うなら賭け、しない?」
『いいよ、してやろーじゃん』
巧のその言葉であたしはニヤッと笑った。
「もし今日、あたしが誰か男の子と帰らなかったら巧の勝ち。
でも誰かと一緒に帰ることになったらあたしの勝ち。
いい?」
巧は分かった、と答え部屋に戻った。
あたしはそのあとを追う。
まだまだだね、巧。
まだキミはあたしを分かっていないようだ。
せいぜい、負けて泣けばいい!!