悪女と良男
「え?!ホントに?
すごいんだね~」
これ、一応あたしのセリフ。
なぜ、いつものような言葉遣いじゃないのか。
そんなの簡単な話。
巧との賭けに勝つため。
コンパで猫被るなんて当たり前でしょ。
ま、こんなんだから一夜限りの男、なんていうのがいっぱいいるワケなんだけど。
「どうしたのよ~亜美。
今日はいつになくカワイ子ぶっちゃって~」
美野里があたしの耳元で囁く。
「今日はどうしても誰かを落とさないと負けちゃうから」
「何?負けるって」
あたしはニヤッと笑う。
「巧との賭けに負けるの。
それだけはどーしてもイヤだから」
それを聞いて美野里は笑い出す。
「そりゃあ巧は負けるわ~
亜美が本気になったらどんな男でもイチコロだからね~」
美野里は最後に分け前ちょっとちょうだい、と言って隣の男の子といちゃつきだした。
あたしはというとこの中で1番カッコイイ男の子の隣に移動をした。
どうせ落とすならやっぱりカッコイイ子じゃないとね。