悪女と良男
『どうして?
巧、顔はカッコイイと思うし、性格だって優しいじゃん。
好きになっても…おかしくないと思うよ?』
コウスケがあまりも純粋に聞いてくるから、あたしは言う。
「あまりに小さい頃からずっといるからとね?
友達、っていうより兄弟、みたいに感じてくるんだよね。
だから、巧とは幼なじみっていうより兄弟みたいな?
兄弟に恋愛感情は抱かないでしょ?」
なるほど…と呟くコウスケ。
『安心したよ。
もし巧のこと好きだった、って言われたらどうしようかと思った』
本当に嬉しそうに笑ってて。
ふと、気になった。
「どうして?過去のことだったら問題ないでしょ?」
マジな顔でコウスケは言った。
『問題…めちゃくちゃあるよ。
だって俺、何1つ巧に勝てることないから。
俺はいつだって巧の次。
俺はただの巧の引き立て役だから。』