悪女と良男
この言葉を聞いてあたしは気づく。
コウスケ、かなり巧にライバル意識を抱いてる。
「あたしは断然、コウスケ派だなぁ。
巧、意地悪ばっかでイヤだもん」
そう言ってコウスケにくっつく。
でもコウスケは特に気にもしてなくて。
やっぱり…手強いな、コウスケは。
『あ…あれ、巧』
コウスケが立ち止まり、交差点の向こうを見る。
そこには確かに巧がいた。
隣には可愛い女の子。
なんだ。
巧だってなんだかんだ言いながらちゃっかり彼女…作ってるんじゃない。
なんて思いながらニヤッと笑うあたし。
巧はそんなあたしを見て、呆れたような顔をする。
「コウスケくん。
巧にラブラブなとこ、見せつけようよ」
そう言うと驚いたような顔をするコウスケ。
そんなコウスケの手をとり恋人繋ぎをして、体を密着。
巧…見なさい。
あたしとコウスケはこんなに仲が良いのよ。
歩行者の信号が青になり、歩き出すあたしとコウスケ。
それに巧と女の子。
すれ違い様にヤツは言った。
『やっぱサイテーだな、お前』