悪女と良男
『亜美。なんかあったんだろ?
悲しそうな顔、してるぞ?』
良男の右手が頬を撫でる。
拒むことだってできた。
でもあたしは良男のされるがまま。
『言えよ』
良男が近くなった距離をもっと縮める。
なんてキレイな顔なんだろう。
女のあたしでもうらやましくなる顔。
肌がキレイで
睫毛が長くて
鼻筋がスッと通っていて
バランス良くちりばめられたパーツ。
『亜美?』
良男に呼び掛けられ我に返る。
危ない。
あの澄んだ瞳に吸い込まれるところだった。