悪女と良男
『すみません。お怪我…されなかったですか?』
あたしに手を差し出すのは長身で、鼻が高く、目がパッチリの…美少年。
ってコイツ…1コ上の良男じゃん!
前、友達が言ってた。
めちゃくちゃカッコイイよくて。
で、性格がめちゃくちゃ良くて。
あだ名が良男
ちなみあたしより1コ上の高2
写メでしか見たことなかったけど実物はもっとカッコイイなぁ…ってそんなことじゃなかった!
「別に大丈夫だから。
急いでんだよね、あたし
悪いけどどいてもらえますか?センパイ!!」
あたしはスカートをはらい、立ち上がる。
『いや…でも怪我のほうは…』
「してません!ってことでどいてください!」
でも良男はどこうとしない。
「どいてって言ってるの、聞こえてる?
大丈夫?良男センパイ!」
ついつい喧嘩腰になっちゃって。
しかもタメ語、みたいなね。
『あの、僕の名前…義なんですけど…』
ってそういうこと言ってるんじゃないんだけどなぁ…あたし。
わざとらしく大きな溜め息をついた。