悪女と良男
外を眺めたまま、良男が言った。
『亜美さんはなんとも思ってなくても、
相手の巧くんはそうとは限らないんじゃないですか?
すいません。
僕、教室戻りますね。』
良男は良男だった。
そしてなぜかこの良男が良かったはずなのに
また開いてしまった距離が
どうしようもなく、イヤだった。
いったいあたしはどうしたいんだろう。
自分のキモチなのに自分でもよく分からない。
1人になった保健室で呟く。
「…何がしたいんだろう、あたしってば…」