悪女と良男
『なんか保健室であった?
……あ、隠そうとしても無駄だかんな。
俺にはお前の心の中が読めちゃうんだから』
ヒロはニヤニヤしながら俺の机の上に座った。
『別に』
素っ気なく答えヒロにジェスチャーで机から降りろ、と命令する。
『あーそうですか。
どうせ、亜美ちゃんだろ?
最近お前は亜美、亜美、ってうるさいからな』
仕方なさそうに机から降りたヒロが呟く。
『おい、ヒロ。
俺は1回も亜美の名前なんて出してねぇーぞ。
テキトーなことぬかしてんじゃねぇ』
マジな話、俺はヒロの前で一度たりとも亜美の名前を出したことはない。
なのになんでコイツ、俺と亜美が知り合いだって知ってんの?