悪女と良男
その日の帰り。
正門の前に弟の姿を発見。
あれ?なんでコイツ、こんなところにいるんだ?
弟は違う高校に通っているはずなのに。
『おい、コウスケ』
後ろから声をかけるビクッとコウスケの肩が反応する。
『……なんだよ、兄貴か』
『うちの学校になんか用?』
正門から少し離れたところで話をする。
素の俺を見られたくないからな。
『まあ…ちょっと、な』
コウスケはどこか恥ずかしそうに言う。
『もしかしてお前、うちの学校に彼女、いんの?』
『……な、なんでそのこと…』
我が弟ながらなんて分かりやすいヤツなんだ。
『ついにお前にも彼女ができたか。
良かったな。
せいぜい、愛想尽かされないように頑張れよ』
俺はそう言ってニヤッと笑うと歩き出した。
まさか、コウスケの彼女がアイツだとは、
このときの俺はこれっぽっちも思っていなかった。