悪女と良男
泣き顔
●SIDE 亜美●
『え…亜美?』
ビックリした。
良男があんな顔をするなんて思ってもいなかったから。
『お前…なんで泣いてんの?』
そう言われて初めて自分が泣いていることに気がついた。
慌てて俯き涙を拭う。
「うるさい!
良男のバカ!最低!」
あたしはそう吐き捨てて保健室を飛び出した。
もう頭の中は真っ白になっていた。
だってあの短い間にいろんなことがありすぎたんだ。
巧があたしのことをスキだ、って良男が言い出したり
コウスケは良男の弟だったり、
良男があんな男の顔であたしに迫ってきたり。
こんな短時間で全てのことを理解できるほど、
あたしの頭は良くないんだよ…