悪女と良男
「………あ、亜美!?」
どこへ向かうでもなく、走っているとそんな声がして。
それと同時に手首を掴まれる。
「離して、美野里」
あたしを止めたのは顔を見なくても分かる。
唯一の友だち、美野里だ。
「あんた…どうしたの?
そんな柄にもなく泣いちゃって。」
「うるさい。
美野里には関係ないじゃん」
きっとあたしが嫌われる原因はこういうところにあるんだと思う。
「あんたねぇ…
心配してる人に向かってそういうのは良くないんじゃない?
ま、ともかく保健室に行こう!
ちょうど、授業サボりたかったんだよね」
美野里はあたしの言葉を気にすることなく、あたしの腕を引く。
「ダメ。保健室はダメ!」
あたしはそんな美野里に抵抗。
「え?どうして?」
だって保健室には…
『……おい!亜美!』