悪女と良男





「……ん?良男センパイ!?」


突如、目の前に現れたのはさっきまで一緒にいた良男だ。


『亜美、どうした?

俺がさっきあんなことしたから…泣いてんのか?』


良男は美野里を気にすることなく、あたしに近づいて来る。


「ちょ…はっ!?

あたし、全然理解できてないんですけど!


でもとりあえずはけます!

あ、センパイ、亜美のこと頼みました!」


美野里はあたしの手首をバッと離すとどこかへ走って行ってしまう。


行ってほしくなかったのに。

今、コイツと2人きりにはなりたくなかった。



『なぁ…亜美、答えろよ。

なんで…泣いてるんだ?』


そんなの、分かんないよ。

分かんないけど…

でも、ショックだったんだ。



「良男は…っ!

良男だけはああいうこと、平気でやらない、って…!

あたしをそういう対象に見てないって…信じてたから…っ!」


あたしのカラダ目的で近づいて来る男がたくさんいた。

でも、良男だけは違うって思ってた。


だからああやって押し倒されるなんて思ってもみなくて。


そして、何より良男を信じてたから。

だからそれを裏切られたことが涙が出るほどショックだった。









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