悪女と良男
悪女と良男
●SIDE 義●
「………仕方ないわねっ!
あんたの彼女になってあげる!」
本音を言えば、この言葉を聞いてすごく安心した。
だってフラれたら俺の立場、ないだろ?
『何偉そうに言ってんだよ。
最初から亜美に拒否権はない。』
「はぁ?!何ソレ!
ふざけないで!」
『ふざけてねぇーよ』
授業中だということにも構わず、
廊下で大声でやり取り。
ま、いいか。
近くに教室があるワケじゃないし。
『さっさとコウスケと別れろよ。』
「分かってる!」
あーあ…
なんで俺、よりによってこんな気の強い女に惚れちゃったんだろ。
でもあの泣き顔は…ダメだろ。
正直、泣かれたときは本気で戸惑った。
あの強気の亜美が、って。
だからもう泣かせない。
あ、でもたまにはああいう静かな女の子っぽい亜美もいいかもな。