生徒会長の悩み事


静まり返る空気


・・・・・




今、保健室には私と神崎先輩だけ



ほかのみなさんは先にステージ裏で待機してもらっている



こんな状態では、神崎先輩がギターを弾くのは難しいでしょう




「これくらい、どうってことない

ステージには、支障をきたさないから安心しろ



だから、雨宮…そんな顔するな…」




そう言って神崎先輩は私の額に手を置く


…どうやら眉間にしわでもよっていたようです



でも、今はそんなことを言っている場合ではない



「神崎先輩、腕を貸して下さい」


「え…あ、あぁ」



先輩の腕を自分の方へ持っていく


ペリ… ペタ


シュルシュル…


湿布を貼り、包帯を巻いていく



「…これで…よし」

こんなのでは付け焼き刃にしかならないけれど…

ないよりマシです




「…ありがとう
雨宮」




「いえ…あ、それと

神崎先輩これを」



神崎先輩に紙袋を渡す



「“帽子屋”の衣装です

着替え終わったら、ステージ裏に向かって下さい」


服を見て少し複雑な顔をする神崎先輩


やはり、あの服を着るのは抵抗があるのでしょうか…?


「ああ、分かった

色々、迷惑かけてすまない」


「そんな事、気にしなくて良いですよ


ですが…怪我のことはしっかりと、自分の口から皆さんに伝えて下さい」


「分かった…

それにしても、雨宮には本当に隠し事が出来ないな…」

軽くははっと笑う神崎先輩



「これでも生徒会長ですから」


ふっと笑い、それだけ言い残して
私は保健室から出た



さてと…

仕方がないですが、私も“支度”をするとしましょう…





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