生徒会長の悩み事
「…あまり生徒を待たせるのは良くないですね
それでは皆さん
行きましょうか」
「「「「はいっ!!」」」」
雨宮に続いて勢いよく返事をする
「あ…
そういえば気になっていたのですが
雨宮さんはどうしてあんなに嫌がっていたその服を
着ようと思ったのですか?」
…確かに伊織の言うとおりだ
別にギターを弾くだけなら、伊織が作った衣装を着なくても良いはず
あんなに無言の圧力で“絶対に着ない”オーラを出してたのに
何故、わざわざ雨宮は着替えたのだろう?
「確かに…このような格好をするのは嫌ですが…
この服を着くってくださった相沢先輩の気持ちや
神崎先輩が怪我を隠してまでステージに立とうとした思い
寝る間も惜しんで練習をしてくれた、滝本先輩や葵くんの努力
そして、それを楽しみに待っている生徒の期待…
それらを踏みにじるような行為は…
もっと嫌だからです!
さあ…もう時間です
ぐだぐだ言っていないで行きますよ」
雨宮は顔をふいっと前に背け、ステージへ出ていった
さすが雨宮だな
上に立つものは相手の気持ちをよく考えると言う…
誰もが一目置く、立派な生徒会長だ
しかし…
その誰もが一目置く立派な生徒会長の背けられた顔が
少し赤くなっているように見えたのは…
俺の気のせいだったのだろうか…?