生徒会長の悩み事
夢を見ました
私がまだ幼い頃の
記憶のような
思い出のような
そんな夢を…
隣には母さまがいて、一緒に夜空に浮かぶ月を眺めていて…
母さまはいつも月を見ては、きまって私に付けた名前の由来について話す
夢の中でもやっぱり母さまは私にその話をしていた
『優月、こっちにいらっしゃい
ほら
今夜も月が綺麗よ
優月…
月はね、道しるべなの
迷ったとき
困ったとき
悩んだとき
悲しいとき
どんなに辛いことがあっても月を見上げれば頑張れる
大丈夫って思うのよ
真っ暗な夜空にたった一つだけで光る月は夢であり希望であり道しるべでもある
何でだと思う…?
それはきっと月の光が優しいから
優しくみんなを照らしてくれるからなのよ
強すぎる光は影をつくってしまう…
だから優月…
あなたには夜空に光る月のように優しくあってほしいの
だけどこれだけは忘れないで…
月はね………ー。』
だけど、どうしてもこの後の話だけが聞き取れない
記憶と
言葉と
思い出に
もやがかかったみたいに…
母さまは何を言っていたのだろう
何を伝えたかったのだろう
まだ分からない
まだ見つからない
だから私は…
夢の欠片と
月の光を道しるべに
“優しさ”の在処を捜すんだ