生徒会長の悩み事
~優月side~
カツ、カツ、カツ…
放課後の廊下
ほとんどの生徒は帰るか、部活に行っているため
校舎の中はとても静かだった
さて
ここで皆さん問題です
私は今、どこに向かっているでしょう?
…
……
………
…………
……………
………………
正解は音楽室でした
えっ?
なぜ音楽室に向かっているのか、ですか?
それはですね
一ヶ月後(正確には24日後)にある創立祭で
生徒会企画の『軽音で曲をプレゼント』に使うための曲作成
…と言っても
もうほとんど完成しているので
音楽室のピアノで確認をするだけなんですが…
とか何とか言っているうちに
音楽室に到着
早めに終わらせて帰ろう、そんなことを思いながら音楽室のドアに手をかけると
♪~
部屋の中からピアノの音が聞こえた
先客でもいたのだろうか…?
だとしたら少し不味いかもしれない
一応今回の企画は一般生徒には秘密にしてあるし
だからと言って理由も言わずピアノを貸してほしいなんて、流石に図々しすぎる気が…
…それにしても
今ピアノ弾いている人
すごく上手だな
この曲は…
ベートーベン ピアノ・ソナタ第8番『悲愴』 第2楽章
切ない曲なのに…
どこか優しく包み込むような感じがある
そんな風に思ってしまうほどで…
切ない程に悲しく
だけど…
限りなく優しい
昔、父様が言ってたっけ…
『音楽は人の心を写すんだ
奏でる音、一つ一つにその人の気持ちがつまってる
楽器、特にピアノは正直だよ
どんな鏡よりも正確にその人の“本当の姿”を写すからね』
………………。