生徒会長の悩み事
俺は昔から沢山のことを習わされてきた
東條グループの跡取りとして
それに必要な学力、身体能力…全てトップをとってきた
と、言っても
本気なんか出さなくても一位なんて簡単にとれたけどな
まあ、いちいち全力でなんてバカらしくてやってられないから
テキトーに手を抜いてそれなりにやってきた
でも、この桜花学園に入って
俺は初めて二位になった
雨宮優月
俺を初めて抜かした人物
よく考えれば
俺があいつに興味を持ったのは結構前からだ
あんな見た目だから
どうせ勉強だけが取り柄の
暗いやつだとと思っていた
でもそれは違った
雨宮は勉強だけでなく、スポーツも芸術面も
やること全てに全力を尽くしていた
ついには1年生の時に選挙に立候補し
2年になると同時に生徒会長になるという快挙を起こした
先生やPTAからも強力な支持を受けている
んとに…
面白いヤツだ
そんな事を思いながら俺はピアノを弾く
ピアノソナタの“悲愴”
多くのことを習わされてきた俺だが
音楽…ピアノだけは好きだった
唯一、父親が教えてくれたものだから
あのクソ親父と親子として過ごした時間がピアノを弾いている時だった
そして多分その時だけが俺が俺でいられる時間…
そう思っていた
“雨宮優月”と出会うまでは…