生徒会長の悩み事


驚いた…


正直、雨宮がここまで歌が上手いとは思わなかった…




この曲

たぶん、音程から考えて男が歌うようにつくってある



そのままじゃ
女子には出しにくい音のはず


1オクターブあげるとしても、高すぎて女子でも歌えないやつが多い…


なのに

雨宮の歌には無理がなくて
どこまでも透き通るソプラノの声が響いた



ホントに何でも出来る会長様だな…



俺は心の中で
呆れのような感心のようなため息をはいた



雨宮の方も歌を歌い終わり一息をつく


そんな雨宮に俺は声をかけた



「雨宮お疲れ様

歌、上手かったな」


少し、微笑むような感じに言う


でもまあ、どうせ返ってくる返事は

“誰のせいですかっ!?”
とか
“貴方に言われる筋合いはありません”
とか

そんなのに決まってるがな…



「東條…」



ほらほら、始まるぞ



「ありがとうございます」




えっ…?




雨宮から返ってきたのは
憎たらしい悪口でもなく
反論の言葉でもなく


お礼と、今までに見たこともないような優しい笑顔だった






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