‐奏‐ kanade

「かーりーん!!」


遥か頭上から奏音の声が聞こえる。



奏音はジャングルジムの
てっぺんに登って、
奏鈴の名前をよんでいた。



奏鈴が奏音に気がつくと、
奏音は満面の笑みで

「奏鈴もおいでよ!!」

と言った。

その笑顔にドキっとした。



「あ…あたしは登れないよ」

奏鈴は小声で誘いを断った。



「なんでー!?
ベンチのとこで歌うより
ここから歌ったら
絶対気持ちいいよー!!
奏鈴ー!!おいでよ!!」



小声で断ったのに、
聞こえてた…

あたしがひとりで
歌ってたの、知ってた…


「でも奏音…
あたし怖くて登れないよお…」


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