‐奏‐ kanade

奏音は、うーん…と少し
悩んだ後に

「じゃあ、おれが一緒に
奏鈴と登っていくから!!
それなら怖くないだろ」

そういい、せっせと
ジャングルジムから降りる。


そして走ってベンチまできて、

「奏鈴、一緒に登ろ」

と笑顔でいい、手をつないだ。


「…うんっ」
奏音の笑顔につられ、奏鈴も笑顔になる。




ジャングルジムに手をかけ、
すいすいと登る奏音に対し、

ゆっくりゆっくり少しずつ
確実に登っていく奏鈴。


どんなに遅くても、奏音は
笑顔で待っていてくれた。



「よい、しょ…っ」

「奏鈴、もうちょっと!!
あと2段だからがんばれ」


初めてこんな高い所まで登った。
下をみると地面とあんなに
離れていることに驚く。


「…よい、しょ…はぁ…っ」

「がんばれ!!あと1段だ」


腕に力を入れ、体を持ち上げ
足をぐんと伸ばす。


< 89 / 91 >

この作品をシェア

pagetop