‐奏‐ kanade
奏音は、うーん…と少し
悩んだ後に
「じゃあ、おれが一緒に
奏鈴と登っていくから!!
それなら怖くないだろ」
そういい、せっせと
ジャングルジムから降りる。
そして走ってベンチまできて、
「奏鈴、一緒に登ろ」
と笑顔でいい、手をつないだ。
「…うんっ」
奏音の笑顔につられ、奏鈴も笑顔になる。
ジャングルジムに手をかけ、
すいすいと登る奏音に対し、
ゆっくりゆっくり少しずつ
確実に登っていく奏鈴。
どんなに遅くても、奏音は
笑顔で待っていてくれた。
「よい、しょ…っ」
「奏鈴、もうちょっと!!
あと2段だからがんばれ」
初めてこんな高い所まで登った。
下をみると地面とあんなに
離れていることに驚く。
「…よい、しょ…はぁ…っ」
「がんばれ!!あと1段だ」
腕に力を入れ、体を持ち上げ
足をぐんと伸ばす。