‐奏‐ kanade
初めて見る世界の広さは、
ジャングルジムのてっぺんから
みた風景だった。
「わあ…」
「な?高くて風が気持ちいいだろ?」
自信満々の笑みを浮かべる奏音を、
奏鈴は笑顔で見つめていた。
「ここで歌ったら、きっと
色んなひとに聞こえるから。
なにか歌、歌おうよ」
「ううん、いいの」
「なんで?奏鈴、歌いたくないの?」
「違うよ。あたしはね、奏音の歌を聞きたいの」
「おれが歌うの?」