恋オモイ
2月の初めはまだ寒くて私はマフラーを結び直そうと、左の手をポケットから出した。
どうしても相沢君と繋いだ右手だけは離したくない。
「ミドリは手、俺のポケット入れといて」
そう言って相沢君は繋いでいた手を離して、私のマフラーに手を伸ばす。
私は言われた通りに相沢君のポケットに両手を突っ込んでみた。
相沢君のポケットは思ったよりもかなり暖かい。
「よしっ!出来た。…どう??暖かい??」
「うん。すっごく暖かい。なんか私だけ季節が春みたいだよ」
「フッ……ミドリ誉め上手」
ぽんと頭に乗せられた相沢君の手も暖かかった。