永遠なる誓約
ブルーネル湖
それからしばらくして、ようやく私の腕を引っ張る男の足が止まった。
もしかしたら、彼等が目指している場所に着いたのだろうか。
その瞬間…突然、視界に明るい光が差してきた。
その眩しさに、私は自然と目を閉じてしまう。
…だけど、いつまでも前を見ないでいる訳にはいかない。
恐る恐る目を開いた私の、すぐ目前に広がっていたのは…
美しいという言葉だけでは表現しきれない程の、正に神々しい湖だった。
暗い森に囲まれているというのに、何故かこの辺りだけは神聖な光に包まれているような感じ。
優しい明光に満ち溢れ、周りの木々からは小鳥のさえずりさえも聞こえてくる。
それに、何だろう…?
初めて訪れた気がしない…。
どこか懐かしい気持ちになる場所だ。
「よし、ここなら誰も来ねぇ…姫さん悪いなァ。あんたを一目見たら、命令通りに殺しちまうのが勿体なくなってきてよォ」
後ろから着いてきた賊の一人が、クックッ…と不気味な笑みを漏らしながらそう言った。
え…?
殺さないというのなら、どうしてこんな所に連れて来たのだろう。
いや…彼等が初めから私を殺すつもりならば、馬車の上で事を済ましてしまった方がよっぽど効率的なはずだ。
この湖を目指している間にも、デュナミスの兵が馬車を発見しているかもしれないのだから。
「ならば、どうして…?」
今は変な考えを起こさず、取り敢えず私は素直な気持ちを聞いてみる事にした。