永遠なる誓約
自分の部屋に戻ると、無意識の内に深い溜め息がこぼれポツリと呟いた。
「結婚…」
私は本当の恋というモノを知らないまま、40も歳上の最低男の元へ嫁がなければならない。
まだ結婚の日取りは決まっていないが、婚儀の準備のために明後日にはルナティアへ旅立たなければならないだなんて。
13年前から決まっていた事なのに今更になって迷いが生じてくる。
いっそ王宮から逃げ出してしまえば、この気持ち…少しは晴れるのだろうか。
けれどそんな事をしたら、この国はどうなる?
デュナミス王国にとっては必ず成功させなければならない結婚話だ。
平和条約通りにデュナミス王女がルナティアへ嫁がないと知られれば、間違いなく戦争が起きる。
それに私をずっと大切に育ててくれたお父様や、生まれ育ったデュナミス王国に恥をかかせる事等、絶対にできやしない。
…この国の王女としてこの世に生を受けた時点で、既に私の人生は決められていたのだ。
そうやって自分自身を納得させるように、何度も何度も言い聞かせた。