永遠なる誓約
「おいお前達!何をしている、そこから退きなさい!!」
「クックックッ……お偉いさんよォ…そいつァ聞けねぇ注文だ」
ゾクッ…
外から聞こえてきた見知らぬ声はどこか不気味で、背筋に冷や汗がヒヤリと伝うのを感じる。
側近が馬車から降りて、道を塞いでいるらしい声の主の元に歩み寄った。
私も少し身を乗り出してみるものの、座っている場所からは馬が邪魔になっていてよく見えない。
「この馬車に乗っておられるのは、ルナティアの皇妃になられる御方であるぞ!早く道を、あけなさい」
「ああ…知ってるさ。んな事よ、あらかじめ調べてないとでも思ったか?」
さっきとは声が違う。
どうやら、道を塞いでいるのは一人ではないようだ。
「俺達ァあんたら下っ端には興味ねぇんだ。その馬車に乗ってるっていう姫さんさえ手に入れられればよォ」
え…私を?
「なんだと…!?」
側近も驚いたようで、声音から驚愕と畏怖の色が伺える。
王女である私を狙うくらい度胸のある輩が存在するとしたら、それは恐らく身代金目的…。
『賊』と考えるしかない。
まさか…さっき心の中で望んでいた事が現実になってしまうなんて…!