永遠なる誓約
「まァ…そのためには、あんたらは邪魔だよなァ?悪いが死んでもらうぜ…!」
賊の一人が楽しそうな声を響かせた途端、辺りには不穏な音が響き渡った。
…ザシュッ
何が…起こっているの?
肉を斬り裂く刃。
地に滴る真っ赤な鮮血。
痛みに疱き苦しむ呻き声。
馬車の外から聞こえてくる音は、その様子をありありと想像させるものばかりだった。
永遠とも思える一瞬。
私の周りで過ぎているのは、正にそんな表現が似合う時間だ。
次に聞こえたのは、ザッザッ…とこちらに近づいてくる足音。
そして、
つぎはぎだらけの血に濡れた衣服を纏い、狂気に満ちた眼差しを持つ5人程の男達が目に入った。
馬車の前方からは未だに不穏な音が続いているから、これで全員ではないだろう。
「デュナミスの王女は絶世の美女とかいう噂は所詮噂かと思っていたんだが、そうでもねぇみたいだなァ……」
髭の生えた顎に手を置きながら私の顔をまじまじと覗き込むのは、
…狂ったような笑顔を満面に浮かべる男だった。
「あ…あなた方は?」
抑え切れない恐怖感から、どうしても声が震えてしまう。
それでも精一杯に相手を真っ直ぐに見返し、この馬車を急襲した彼等の目的を聞いてみる。
すると…
男の口から返ってきた答えは、信じられないものだった。
「俺達ァ…あんたを暗殺しにきた」