亀吉の桜
春って、
幸せな季節なんでしょう?

じゃあ、
今までの僕の知ってる
桜の季節は春だけど、

これからの
僕の春って

いつなのかな。



当たり前だと思ってた事が
全て当たり前で無くなって。


僕が原因で泣かせてしまった
あの時も。

突然家出した
あの時も。


僕から
離れていった時間も
たくさんあった。

帰って来ない日も
あった。


けど、

必ず帰ってくる事も
わかってた。



陽一君を待ち続けて、

帰ってきた時に
ごはんをねだるのが

僕の信頼の形だった。


でもさ。

自分には
勝手にどっか逃げるな
って言っといて。

自分は勝手に
どっか言っちゃうんだね。


ひどいよ。


陽一君。


陽一君。








寂しいよ。

陽一君…。
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