亀吉の桜
桜の散る公園
陽一君が

僕の隣から
いなくなってから

なんだか
景色が少し
目に映りにくく
なった気がする。


あんなに鮮やかに
見えていたはずの
夏の緑も

あんなに綺麗だった
秋の紅葉も

あんなにまぶしかった
冬の雪も



どうしてかな?






陽一君。


もう一つ。

気付いたことが
あるんだ。


陽一君が
桜の中で
死んでた理由。


あれって、
僕のために
桜を取りに
行ったからでしょう?


僕の家に
飾ってくれていた
桜の枝。

枯れ始めてたから

僕の家に
枯れていない枝を
飾ってくれようと
したんでしょう?



陽一君が
2回目に枝を
取ってきてくれた時、

あの公園の桜は
すでに
枯れかけてた。


けど、
一番大きな桜だけは
しぶとく
桜の花を
咲かし続けてた。


倒れてた
陽一君の服にも

桜の花が
いっぱい
ついてたね。
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