亀吉の桜
俺の心臓は

生まれつき
壊れ物だった。

たまに走ると
目の前の景色が
色を失う事が

たびたびあった。


けど、
俺自身は
壊れ物ではない。


そう信じたかった。


だけど、
誰も信じては
くれなかった。

医者に言われてるから。

そんな事、
わかってる。


けど、
俺だって
こうして立っている。


どうしても

俺を壊れ物として
見て欲しくなかった。



亀吉だけ、
俺を信じてた。


壊れ物としては
見なかった。


サッカーだって
まともに3年やった。


全て亀吉が
俺をずっと
信じてくれたから。



亀吉と出会ってから、

俺が景色から
色を失う事は
一度も
無かった。



もっと言えば
よかった。





ありがとう。




俺をここまで
生かしてくれて。





ありがとう。









だけど。




ごめんな…。




さようなら。






俺の





永遠の





最高の





親友の





亀吉へ…。
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