亀吉の桜
桜の舞う公園
冬が近付くと
陽一君は
何故か
はしゃぎ出す。

特に


春がくる
本当に直前の
冬の時期に

はしゃいで
家でも走り回る。


大丈夫。


春は
逃げないんだから。


落ち着きなよ。


そう思いつつ、
自分の心も
陽一君につられて

熱く
躍動する。


春の香りの風が
吹きそうな気配を
感じる度に

興奮冷めやらない
陽一君。


その時、
僕は一番最初の
春を見つける。


桜色に染まる
陽一君のほっぺ。


赤でもなく、
オレンジでもない。

ピンクと言うより
鮮やかで儚い

桜色。



毎年変わらない。


陽一君のほっぺが
桜色に染まる時に

僕に春が来て、



僕の心も
桜色に染まり出す。
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