つ ば さ

初期の頃の私はずけずけと選手の心に入り込むようなことが多かったけど、最近はなぜか億劫になってそれができなくなっていた。



「綾人、お疲れ様。今日はどんくらい跳んだ?」



綾人はすぐに私に気がついて、ペットボトルのスポーツドリンクを飲みながら近づいてきた。

うん、カッコいい。



「相変わらず1.90止まりです。何回跳んでも1.95は跳べないんですよね。」



綾人は苦笑いを浮かべてまたスポーツドリンクを飲んだ。

直感的に“違うよ”って思った。



あなたが跳べない理由は、実力不足でもなければ技術的な問題でもない。


< 165 / 215 >

この作品をシェア

pagetop