日本女児VS肉食獣
梅ノ宮高校の『花』
春…始業式。新しい日々の始まり。
「いってきます。お母様」
「あら雪ちゃん?いってらっしゃい。いい加減、髪のばしなさいよっ!!」
…………またか。
「おぉ雪乃介。出るのか?」
玄関に、お父様もやってきた。
「はい。いってきます」
「おう。髪もう少し切れよ?」
………………はぁ。
僕、花巻 雪乃介(ハナマキ ユキノスケ)
とはいっても、残念ながら性別は女。
高3の17歳。
長い前髪を少しわけ、襟足が肩まである段のついたストレートの漆黒の髪。
他は普通の人と変わらない、ごく普通の女子高生。
でもない。
まず、制服は男物のブレザー。
そこから普通の女子高生ではない。
そして、剣道と柔道、空手、弓道の県大会1位。
茶道、華道は教室も開いているような腕前。
自分自身が理解できる。
…僕は普通じゃない。
普通には、もうなれない…