落ち魁


あたいはまだ

泣きながら売られただけ幸せなのだろうか

ごめんねと何度も呟いた母親と

見てはいけない物を見る様な兄弟達を思いだした

そんな物比べて何になる

あたいは自嘲の笑みを浮かべた

泣いていても

笑っていても

娘を売った事には変わりないんだ

ならあたいは笑いながら

送り出して貰いたかった

憎しみで心が埋まっちまうくらいの笑顔でさ

そしたらきっと

あたいは花魁になれたんだ

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