この歌をあなたに
ファンが増えるのは嬉しい
名前を呼ばれるのも嬉しい
ヘドバンや
振りをしてくれるのも
すっげー嬉しい


けど何故だ


今にいたっても

俺らのバンドの客に

ロリータがいない!?




「今日もロリータいなかったな」

楽屋と言うには
狭すぎる部屋で
ライブを終えた俺らは
少し反省会的なことをする
これは毎回だ
けど反省会の第一声が
靖善のこの台詞


胸にグサッっとつき刺さる


「てかさ…
そろそろ諦めだろ?
掲示板に
"キラはキャバ嬢には
ものすごくうるさい"
って書いてんで…」

少し哀れむように言うキヨ


「まじー!?」

楽しそうにそれを覗き込む
ハル


こいつら…


「あ、たけぇ
巨乳好きっていわれてるよ」

たけとは俺の本名だ

ってそんなことぢゃねぇ!!!


俺は…

俺は……

「俺は貧乳派だ!!!!!」


「いや…
そんなこと堂々と言われても」

ちょっと引いてる
キヨ以外
爆笑してる

「お前ほんっま
ロリコンやな」

あーおもしれとつぶやき
腹を抑えながら
俺に言うザユ

「まーなんだ
今日は前回より客も
多かったし
たけの煽りもよかったし
ギターソロもいけたし
まぁとりあえず
俺カッコイイから良しだな!」

そう言って鏡をみる
キヨ

こいつはナルシストだ

1日に20回は
鏡の自分に酔いしれてる

「俺腹へったー」

「俺もー」

「飯食いに行くかー」

最初はみんな
キヨに突っ込んでいたが
最近はめっきりスルーだ


夜の街
俺らはラーメン屋を
目指して
歩いて行く
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop