恋春


「…朝奈は姉に巻き込まれた。」



どこか遠くを見たような目をして言った。



「…両親は朝奈が心配なんだろ」

「…そーだね」



「んー」と朝奈が背伸びをした。



「ま、しょうがないよね」



そう言って俺に笑った。



…朝奈は…姉が好きだったのか?


死んだ話しなのに笑ってる。



…空いていた部屋の窓から、夜にしては暖かい風が



オレンジ色のカーテンを揺らしていた。



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