貴様!何様?会長様!?



…いた。



吉野はそこにいた、が。



「…なんでお前までいる」

「なんでいちゃ、ダメなのさ?」



思いっきり嫌そうな顔をした俺を、ソイツは笑顔で受け流した。



俺はこの笑顔が、大嫌いだ。



「君が彼女を泣かしたんだろう?」

「………」



俺とヤツの会話を聞きながら、吉野は2人を交互に見て目をパチクリさせている。



その瞳は赤い。



「…あの、2人は知り合いですか?」



そして遠慮がちに口を開いて、俺ではなくヤツに尋ねる。



「知り合いも何も俺達、従兄弟だもんねぇ?」

「………」

「い、従兄弟?!」



にやりと笑う、沢口(さわぐち)は、俺の父親の姉の息子。



この学校の美術教師だ。



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