貴様!何様?会長様!?
まずその汚らわしい手を、俺の猫から離せ。
「沢口先生、生徒に馴れ馴れしく触るのは控えていただけませんか」
ヘラヘラと誰にでも愛想がよく、女子にやたらベタベタする。
俺にはその思考回路が、まるで理解できない。
そんな沢口に群がる女も。
「自分のお気に入りを触られるのが、そんなに悔しい?」
沢口は楽しそうに俺に言う。
「お気に入り?勘違いもはなはだしいですね、沢口先生」
口元を少し緩めながら、俺は沢口と吉野を見据える。
「それは俺のだ」
簡単に渡せるモノじゃない。
お気に入り程度のモノじゃない。
「…それは残念。もうそんな関係だったんだ。さすが零、手が早いんだね」
ふぅっと息を吐きながら、沢口は吉野の肩から手をどいた。