貴様!何様?会長様!?
キスされたから?
酔った勢いだったから?
いやいや、なにか違う。
会長が、覚えていなかったから?
「…分かりません」
ただ、なんか悔しいような。
悲しいような。
私にとっての一大事が、零会長にとっては忘れてしまえる事なんだと、実感したというか。
「訳もなく泣くのか、お前は」
「そ、それは…」
顔を上げると、零会長は私を見ていた。
そして私を見つめたまま、機嫌の悪そうな顔でポツリと言う。
「…気にくわない」
「え…?!」
や、やっぱり私怒られてる?!
思い当たる節がありすぎて、私はとっさに謝罪の言葉を口にする。
「あの…すみません。私っ―――」